アニメの熱狂をリアルタイムで広げる、XとABEMAが仕掛ける新マーケティング

本内容はCyberAgent Wayによる 2025/3/3 記事からの転載となります。
アニメファンの熱狂をさらに広げるため、Xと「ABEMA」が手を組み、新たなマーケティング手法に挑戦しています。 2024年12月に「ABEMA」が開催し無料生放送した国内最大級のアニメアワード『日本アニメトレンド大賞2024』の成功の裏には、両社の強みを生かしたデータ連携やリアルタイム性を重視した戦略がありました。 今回、その舞台裏と今後の展望について、両社の担当者に詳しく伺いました。
『日本アニメトレンド大賞2024』での連携の舞台裏

—まずは国内最大級のアニメアワード『日本アニメトレンド大賞2024』(2024年12月26日放送)の開催背景や反響などを教えてください。
ABEMA山崎:『日本アニメトレンド大賞』は、その1年のアニメを振り返る風物詩になるようなアワードを目指し、2023年に始まりました。2度目の開催となった2024年は、前年よりも賞の数を倍以上に増やし、音楽面でも1年間を振り返るような特別ライブコーナーを新設するなど、より多くのアニメ作品に光を当てることを目指しました。
結果として、視聴数、コメント数ともに1.5倍程度増加し、様々な指標で昨年を上回る結果となり、視聴者の皆様の熱量を強く感じることができました。
出演者や作品関係者の方からも「自身の作品が受賞するかどうか、ドキドキしながら番組を視聴した」といった声をいただくなど、アニメ業界で注目を集めるアワードへと成長している手ごたえを感じています。

ABEMA山崎:また今回、視聴者の皆様がリアルタイムで感想を共有し、盛り上がれる場をご提供できるという点で、Xでもキャンペーンを実施しました。加えて各賞の選出には「ABEMA」アニメのデータに加え、X上のデータを活用。話題の作品が受賞するだけでなく、意外な作品にも光が当たるような、多角的な視点からの賞選定が実現できたと感じています。
—具体的にどのようなXのデータを利用されたのですか?
X寺本:まず、『日本アニメトレンド大賞』における投稿や検索に関する具体的な数値をお伝えします。
今回、X上でのキャンペーンでは約50万回の再生を記録しました。公式ハッシュタグを含む関連投稿数は、12月全体で8万件、当日だけでも約3万件の投稿がありました。
さらに、検索数を見てみると、12月全体で17万件、当日だけで10万件の検索が行われていました。
こういったX上でユーザーが投稿したアニメに関する全てのデータを収集・分析。作品名や関連ハッシュタグ、略語を含むポストはもちろん、作品に対する感情表現、特定のシーンへの言及数など、多岐にわたるデータを集めました。

X寺本: 例えば、「神回」や「泣きアニメ」といった、特に盛り上がりを見せたエピソードの特定にもデータが活用されています。各話のポスト数や感情表現から、視聴者の反応が最も高かった回を特定しました。また、作品ごとの傾向分析にもデータが役立っていて、特定のジャンルに人気が集中しているのか、特定のキャラクターが話題になっているのかなど、視聴者の嗜好を分析することで、通常のランキングでは見えない作品の人気も浮き彫りにしました。
ABEMA山崎:作品の人気度や視聴者の反応を分析する上で、非常に貴重なデータをご提供いただきました。瞬間的なトレンドだけでなく、1年を通しての視聴者の反応を整理することで、数多くの新発見がありました。特に「神回」のようなキーワードは、今年の賞の切り口としても採用させていただいています。
今回の「トレンド大賞」の成功はデータとファンの熱量が生み出した成果だと感じています。

ABEMAとXで生みだす、アニメのファンエンゲージメント
—これまでも「ABEMA」とXは連携を強化していますね。その背景や狙いを教えてください。
ABEMA倉田:Xさんとはこれまでも広告出稿だけではなく、さまざまな形でご一緒させていただいてきました。「FIFA ワールドカップ カタール 2022」では、現地の映像をX上で流したり、オリジナルの絵文字を用意するなど、「ABEMA」の無料生中継とXの情報発信力が相乗効果となり、大きな盛り上がりを生み出しました。
アニメ領域に関しても、X上での反響が大きいジャンルですので、作品と連動した絵文字の活用やキャンペーンのような取り組みなどを通して、相性の良さを感じています。
X寺本:私たちも「ABEMA」さんとの連携には大きなシナジーを感じています。特にアニメファンは作品への愛着が強く、熱量の高いコミュニティを形成しています。Xは、そうしたファン同士が繋がり、リアルタイムで感想を共有できる最適なプラットフォームです。「ABEMA」と連携することで、アニメコンテンツをより多くのファンに届け、さらに深いエンゲージメントを築きたいと考えています。

ABEMA倉田:「ABEMA」のアニメ/ポップカルチャー情報番組『SHIBUYA ANIME BASE』での取り組みも印象的です。番組内で、X上でのアニメに関するユーザーの投稿をピックアップして紹介するコーナーを設けました。これは、Xさんからのご提案がきっかけで生まれた企画ですね。
X宮原:ラジオのハガキ職人のリアルタイム版をXで実現しようという発想でした。ユーザーのリアルタイムの反応を番組に取り入れることで、視聴者参加型の新しい番組の形を作れないかな、と。
実は私もアニメが大好きなので、自分も含めたアニメファンの熱量を直接感じられる企画にしたかったのです。
「ABEMA」さんほど、アニメに対して熱く、そして深い番組を放送しているプラットフォームはないと思っています。『SHIBUYA ANIME BASE』も他の番組においても様々な新しい切り口の企画が行われているので、アニメの情報発信に留まらず、“アニメの新しい実験場”としても機能していると感じ、いつも楽しく番組を拝見しています。

—最近のXにおけるアニメファンの特徴などについても教えてください。
X宮原:近年、アニメファンの熱量はますます高まっていると感じています。作品への深い愛情を表現する言葉として、「語彙力がなくて申し訳ない」というフレーズがよく使われるようになりました。これは、作品に対する感動や驚きを単純な言葉で済ませたくない、もっと的確に伝えたいという思いの表れです。
そうした熱量の高まりは、投稿内容にも表れています。以前は短いポストが主流でしたが、最近は長文で感想を投稿するユーザーが増えています。また、画像に添えて詳細な説明を書き込める画像の説明機能(ALTテキスト)を活用し、ネタバレを含む感想を共有するケースも見られます。その結果、感想の投稿が増え、その内容もより深く、熱量の高いものになっています。
—他のジャンルと比べて、アニメファンの熱量は特に高いのでしょうか。
X寺本:はい、特にアニメはX上での熱量が高いジャンルだと感じています。
声優の方々もXを活用されていることが多く、ファンとの距離が近いことも一因です。
また、インディーアニメの台頭によって、アニメ制作に携わるクリエイター自身もX上で作品を発表し、ファンと直接交流する機会が増えました。
そのため、作り手と受け手が一体となって盛り上がる傾向があります。
ABEMA山崎:ファンの皆様の感想を見ていると、作品への深い愛情が伝わってきます。X上での感想が増えることで、その投稿を見て作品に興味を持ち、「ABEMA」で視聴するという好循環も生まれています。
ABEMAとXが描く、アニメファン熱狂の未来戦略

—では最後にアニメ領域での展望や、今後の両社の連携について教えてください。
X宮原: Xは、リアルタイム性という強みを生かし、ユーザーの熱量を最も感じられるプラットフォームであり続けたいと考えています。
アニメファンはその熱量も非常に高く、質の高いコメントや考察が飛び交います。また、検索を通じて情報収集をしている潜在的なユーザー層が多く存在することもわかっています。
この全ての熱量をデータで捉え、X上の検索機能と会話量のデータ分析にさらに力を入れていきたいと思っています。
ユーザーがどのような作品やキーワードに興味を持っているかを詳細に分析することで、プロモーション戦略や、新たなファンコミュニティ形成に繋がるインサイトを提供できます。
ユーザーの皆さんにとって価値のある体験を提供するために、「ABEMA」さんと力を合わせていければと思います。
ABEMA山崎:「ABEMA」は、多様なジャンルのアニメ作品を網羅的に放送し、多くの視聴者の皆様にアニメの魅力をお届けすることを目指しています。
その中で、視聴者が思わず見たくなるようなきっかけ作りや、作品の魅力を多角的に伝える取り組みを強化し、アニメファンの皆様に喜んでいただけるコンテンツをご提供していくことで、アニメ業界全体の発展に貢献していきたいです。
ABEMA倉田:Xさんのリアルタイム性、独自データ、そして情報発信力は、「ABEMA」のコンテンツをより多くのアニメファンの方々にお届けする上で非常に重要です。
業界初の取り組みや、視聴者の皆様に驚きを与えられるような企画を進め、今までにないアニメの視聴体験を創造していきたいと思います。
X寺本:「ABEMA」さんとは長年に渡り様々な取り組みをご一緒させていただき、信頼関係を築いてきました。特に印象的なのは、アニメ作品を1話丸ごとX上で無料配信するという、当時としては先進的な取り組みでした。
「ABEMA」さんは、常に新しい技術やプラットフォームに果敢に挑戦する姿勢をお持ちで、我々も「ABEMA」さんを最初の相談相手として、新機能開発など様々な面で頼りにしています。今後も新たなチャレンジが一緒にできると信じています。

Twitter広告スペシャリストに相談する
御社にあったTwitter広告の活用方法にお悩みなら、ぜひ弊社の広告スペシャリストにご相談ください。
