- アクセシビリティAPI
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オペレーティングシステムおよびその他のプラットフォームは、支援技術にオブジェクトおよびイベントに関する情報を公開する一連のインターフェイスを提供する。支援技術は、情報を取得し、それらのウィジェットと対話するためにこれらのインターフェイスを使用する。アクセシビリティAPIの例は、Linux/Unix Accessibility Toolkit [ATK]およびIAccessible2 [IAccessible2]である。
- アクセシビリティサブツリー
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アクセシビリティツリーにおけるアクセシブルなオブジェクトとそのツリーにおけるそのアクセシビリティツリーの子孫。アクセシビリティサブツリーは、そのツリー内の親子以外の関係を持つオブジェクトを含まない。たとえば、このオブジェクトがまた、アクセシビリティツリー内の子孫である場合を除き、アクセシビリティサブツリーはaria-flowto
を介して連結されたオブジェクトを含まない。
- アクセシビリティツリー
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ユーザーインターフェイス(UI)の構造を表すアクセシブルなオブジェクトのツリー。アクセシビリティツリーの各ノードは、アクセシビリティAPIを介して公開されるようなUIにおける要素を表す。例えば、プッシュボタン、チェックボックス、またはコンテナーなど。
- アクセシブルな説明
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アクセシブルな説明は、インターフェイス要素に関連する、アクセシブルな名前を補完する追加情報を提供する。アクセシブルな説明は、視覚的に知覚されるかもしれないし、されないかもしれない。
- アクセシブルな名前
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アクセシブルな名前は、ユーザーインターフェイス要素の名前である。各プラットフォームのアクセシビリティAPIは、アクセシブルな名前プロパティを提供する。アクセシブルな名前の値は、可視(たとえば、ボタンの可視テキスト)またはユーザーインターフェイス要素の不可視(たとえば、アイコンを説明する代替テキスト)プロパティから得られるかもしれない。関連するアクセシブルな説明を参照のこと。
アクセシブルな名前プロパティに対する簡単な用法は、"OK"ボタンによって説明することができる。テキスト"OK"は、アクセシブルな名前である。ボタンがフォーカスを受け取る場合、支援技術は、アクセシブル名前をもつプラットフォームのロールの説明を連結できる。たとえば、スクリーンリーダーは、"押しボタンOK"または"OKボタン"を話すことができる。連結の順序および役割の説明の詳細(たとえば"ボタン"、"押しボタン"、"クリック可能ボタン")は、プラットフォームアクセシビリティAPIまたは支援技術によって決定される。
- アクセシブルなオブジェクト
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アクセシビリティAPIのアクセシビリティツリーにおけるノード。アクセシビリティオブジェクトは、支援技術による用途に対する、さまざまなステート、プロパティおよびイベントを公開する。一般にマークアップ言語(HTMLやSVGなど)のコンテキストにおいて、特にWAI-ARIAにおいて、マークアップ要素およびその属性は、アクセシブルなオブジェクトとして表される。
- 活性化挙動
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入力デバイスを介してユーザーによって通常開始される、イベントが要素に定義されたロールを実行させる際に取られるアクション。ロールは、ホスト言語、または著者定義の変数、またはその両方によって、その要素に対して定義されてもよい。任意の与えられる要素に対するロールは、一般的なアクションであってもよく、またはその要素に固有であってもよい。例えば、HTMLやSVG <a>
要素の活性化挙動は、(現在のウィンドウまたはタブ、名前付きウィンドウ、または新しいウィンドウのような)トラバースのためのブラウジングコンテキストを指定することの更なる任意のパラメータをもつ、ユーザーエージェントにhref
属性で指定されたリンクを横断させることとするものとする。type
属性の値submit
を持つHTMLの<input>
要素の活性化挙動は、著者定義のHTTPメソッドによって著者定義のIRIにフォーム要素の値を送信するものとする。
- 支援技術
ハードウェアおよび/またはソフトウェアは:
- ウェブコンテンツを取得してレンダリングするためのユーザーエージェントによって提供されるサービスに依存する
- APIの使用を通してユーザーエージェントまたはウェブコンテンツ自体と連動し、
- 障害者によってウェブコンテンツとのユーザーの対話を容易にするためにユーザーエージェントによって提供されるものを超えたサービスを提供する
この定義は他の文書で使用したものと異なるかもしれない。
この文書のコンテキストにおいて重要である支援技術の例としては次のものを含む:
- 拡大してかつレンダリングされたテキストと画像の視覚的な読みやすさを改善するために使用されるスクリーン拡大鏡。
- 合成音声または点字ディスプレイを通して情報を伝達するために最も頻繁に使用されるスクリーンリーダー。
- 合成音声にテキストを変換するために使用される音声変換ソフトウェア。
- 音声制御とディクテーションを可能にするために使用される音声認識ソフトウェア。
- キーボードをシミュレートするために使用される、(ヘッドポインター、オンスクリーンキーボード、単一のスイッチ、息操作デバイスを含む)代替入力技術。
- マウスポインターおよびクリックをシミュレートするために使用される代替ポインティングデバイス。
- 属性
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この仕様において、属性は、マークアップ言語における属性として使用される。属性は、要素によって表されるオブジェクトのステートおよびプロパティに関する情報を提供するために要素に追加される構造的特徴である。
- クラス
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類似の特性を共有する一連のインスタンスオブジェクト。
- 非推奨
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非推奨のロール、ステートまたはプロパティは、新しい構築物または変更状況によって時代遅れとなっており、かつWAI-ARIA仕様の将来のバージョンで削除されるかもしれないものである。ユーザーエージェントは、下位互換性のために非推奨として識別される項目のサポートを継続することを勧める。詳細については、適合性セクションの非推奨要件を参照のこと。
- デスクトップフォーカスイベント
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入力フォーカスの変更を通知するアクセシビリティAPIを通してホストオペレーティングシステムから/へのイベント。
- DOMString
- 16ビットの符号なし整数のシーケンス。通常はUTF-16コード単位として解釈される。 これは、JavaScriptプリミティブ文字列型に対応する。
- 要素
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この仕様において、要素は、マークアップ言語における要素として使用される。要素は、オブジェクトに対するデータプロファイルを含むマークアップ言語における構成要素である。
- イベント
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コンピューターシステムにおける他のオブジェクトにオブジェクトのステートで個別の変化を通信するために使用されるプログラムのメッセージ。ウェブページへのユーザー入力は、相互作用を記述する抽象イベントを介して一般的に媒介され、ドキュメントオブジェクトのステートの変化の通知を提供することができる。一部のプログラミング言語において、イベントは、通知としてより一般的には知られる。
- 公開する
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Core Accessibility API Mappingsで定義されるプラットフォーム固有のアクセシビリティAPIに変換される。
- グラフィカルな文書
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ユーザーナビゲート可能な部分をもつグラフィック表現を含む文書。グラフ、地図、図表、設計図、およびダッシュボードは、グラフィカルな文書の例である。グラフィカルな文書は、記号、画像、テキスト、および基本図形(円、点、線、軌道、矩形などの図形)の任意の組み合わせを使用して構成される。
- 非表示
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要素がすべてのユーザーに可視、知覚可能またはインタラクティブでないことを示す。要素またはいずれかのその祖先要素がレンダリングされないか明示的に隠される場合、要素は非表示と考えられる。
- 参考情報
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情報目的で提供されかつ適合のために必須でないコンテンツ。適合するために必要なコンテンツは、規範的と呼ばれる。
- キーボードアクセシブル
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キーボードまたは、息操作チューブのようなキーボード入力を模倣する支援技術を使用するユーザーにアクセシブルなもの。この文書における参照は、WCAG 2.1ガイドライン 2.1:キーボード操作可能: すべての機能をキーボードから利用できるようにするに関連する[WCAG21]。
- ランドマーク
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ユーザーがすばやくアクセスしたいかもしれないページ上の領域の種類。そのような領域におけるコンテンツは、主要なコンテンツのナビゲート、検索および熟読のような、ページ上の他の領域のそれと異なり、かつ特定のユーザーの目的と関連する。
- ライブリージョン
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ライブリージョンは、ユーザーフォーカスが別の場所にあるかもしれない場合、一般に、外部イベントの結果として更新されるウェブページの知覚領域である。この領域は、必ずしもユーザーの相互作用の結果として更新されるとは限らない。ライブリージョンの例は、チャットログ、株価表示機、またはゲームの統計を反映するために定期的に更新するスポーツのスコアリングセクションを含む。これらの非同期の領域はユーザーのフォーカス領域の外側で更新することが期待されるので、スクリーンリーダーなどの支援技術は、どちらかその存在に気づかないか、ユーザーに対して領域を処理することができないかのいずれかである。WAI-ARIAは、著者がこれらライブリージョンを識別することおよび処理することを可能にするプロパティのコレクションを提供している:aria-live、aria-relevant、aria-atomicおよびaria-busy。
- プライマリコンテンツ要素
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HTMLにおけるbody
要素のような、ホスト言語の主要なコンテンツ要素の実装。
- 管理されたステート
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フォーカスや選択のような、ユーザーエージェントによって制御されるアクセシビリティAPIステート。これは、一般に著者によって制御される"非管理ステート"と対比される。それにもかかわらず、著者は、aria-posinsetおよびaria-setsizeのような一部の管理されたステートを上書きすることができる。多くの管理されたステートは、:focusなどの対応するCSS擬似クラス、および::selectionなどの対応するCSS疑似要素を持つ。
- ネメス点字
-
数式のためのネメス点字コードは、数学および科学表記を符号化するための点字コードである。WikipediaのNemeth Brailleを参照のこと。
- ノード
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DOMツリーまたはアクセシビリティツリーにおけるオブジェクトの基本型。DOMノードは、他の型の中で、要素またはテキストノードとしてさらに指定される。アクセシビリティツリーのノードは、アクセシブルなオブジェクトである。
- 規範的
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適合のために必須とされるもの。対照的に、参考情報または"非規範"として識別されるコンテンツは、適合のために必要とされない。
- オブジェクト
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ユーザーインターフェイスのコンテキストで、1つ以上の要素によってマークアップ言語で表現され、ユーザーエージェントによってレンダリングされる、知覚的ユーザーエクスペリエンスの項目。
プログラミングのコンテキストで、1つ以上のクラスおよび同様のオブジェクトの一般的な特性を定義するインターフェイスのインスタンス。アクセシビリティAPIにおけるオブジェクトは、1つ以上のDOMオブジェクトを表すことができる。アクセシビリティAPIは、DOMインターフェイスと区別されるインターフェイスを定義している。
- オントロジー
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クラスの特徴の説明およびどのようにクラスが互いに関連するか。
- 操作可能
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ユーザーが制御することができる方法でユーザーが使用可能なもの。この文書における参照は、WCAG 2.1原則2:コンテンツは操作可能でなければならないに関連する[WCAG21]。キーボードアクセシブルを参照のこと。
- 所有される要素
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'所有される要素'は、要素の任意のDOM子孫、aria-owns
経由で子として指定される任意の要素、または所有する子の任意のDOM子孫である。
- 所有する要素
-
'所有する要素'は、要素の任意のDOM祖先、または要素のIDを参照するaria-owns
属性をもつ任意の要素である。
- 知覚可能
-
ユーザーが感じることができる方法でユーザーに提示可能なもの。この文書における参照はWCAG 2.1原則1:コンテンツは知覚可能でなければならないに関連する。[WCAG21]
- プロパティ
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指定されたオブジェクトの性質に不可欠である、またはオブジェクトに関連付けられたデータ値を表す属性。プロパティの変化は、オブジェクトの意味または見栄えに著しい影響を与えるかもしれない。特定のプロパティ(たとえば、aria-multiline
)は、ステートを変更する可能性がより低いが、変更差分の周期は原則でないことに注意する。aria-activedescendant
、aria-valuenow
、およびaria-valuetext
のような少数のプロパティは、頻繁に変更することが期待される。ステート対プロパティの明確化を参照のこと。
- 関係
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2つの別なものの間の関係。関係は、オブジェクトがもう1つのオブジェクトを分類したり制御したりすることを示すような、さまざまな種類であってもよい。
- ロール
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種類の主な指標。このセマンティックな関連付けはツールが存在してもよく、その種類の他のオブジェクトに関するユーザーの期待と一致する方法でオブジェクトとの相互作用をサポートしてもよい。
- ルートWAI-ARIAノード
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非メタデータコンテンツを含む主要要素。多くの言語において、これは文書要素であり、HTMLにおいて、<body>
である。
- セマンティックス
-
コンピューターが要素および属性などのオブジェクトの表現を処理し、かつさまざまな人間がオブジェクトの一貫した理解を相互に達成するような方法でオブジェクトを確実に表現できるような方法で定義される、人間によって理解されるようなものの意味。
- ステート
-
ステートは、ユーザーの挙動または自動化プロセスに応じて変更することができるオブジェクトの特性を表現する動的なプロパティである。ステートは、オブジェクトの本質的な性質に影響を与えないが、オブジェクトまたはユーザーインタラクションの可能性に関連したデータを表す。プロパティに対するステートの明確化を参照のこと。
- サブ文書
-
<frame>
、<iframe>
または類似のメカニズムから作成される文書。サブ文書は、文書、アプリケーション、または別のサーバから引き出されるカレンダーのような任意のウィジェットを含んでもよい。アクセシビリティツリーにおいて、この状況に対する2つのアクセシブルオブジェクト―1つは生み出される文書コンテンツを表す単一のアクセシブルなオブジェクトの子の親になる、親文書における<frame>
/<iframe>
要素を表す―が存在する。
- ターゲット要素
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WAI-ARIA関係で指定される要素。たとえば、 <div aria-controls=”elem1”>
。ここで“elem1”
は対象要素に対するIDである。
- タクソノミー
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階層においてクラスがスーパークラスのプロパティを継承する、どのようにさまざまなクラスの特性が互いに関係するかの階層的な定義。タクソノミーは、オントロジーの形式的な定義の一部を構成することができる。
- テキストノード
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属性または要素のテキストコンテンツを表すDOMノードの型。テキストノードは子ノードを持たない。
- ツールチップ属性
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デスクトップユーザーエージェントのマウスホバーに応答してなど、ユーザーエージェントにツールチップの生成をもたらすホスト言語の属性。
- 理解可能
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ユーザーが適切な意味を構築することができる方法で提示可能なもの。この文書の参照は、WCAG 2.1原則3:情報およびユーザーインターフェイスの動作は理解可能でなければならないに関連する。[WCAG21]
- Unicode点字図形
-
Unicodeにおいて、点字はブライユ点字図形(U+2800..U+28FF)と呼ばれるブロックで表される。このブロックには、8ドット点字セルの256の可能なパターンがすべて含まれている。これには、U+2800..U+283Fで表される完全な6ドットのセル範囲が含まれる。すべての点字システムで、点字パターンdots-0(U+2800)は、スペースまたはコンテンツの欠如を表すために使用される。これは空白の点字パターンとも呼ばれる。WikipediaのBraille Patternsを参照のこと。
- ユーザーエージェント
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ウェブコンテンツとのエンドユーザーのやりとりを引き出し、レンダリングしかつ容易にする任意のソフトウェア。この定義は他の文書で使用したものと異なるかもしれない。
- 妥当なIDREF
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一致するIDを持つ同一文書におけるターゲット要素への参照。
- ウィジェット
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ユーザーが対話することができる個別のユーザーインターフェイスオブジェクト。ウィジェットは、1つの値または操作(たとえば、ボックスやメニュー項目をチェックする)を持つ単純なオブジェクトから、多数の管理されたサブオブジェクト(たとえば、ツリーやグリッド)を含む複雑なオブジェクトへと多岐にわたる。