タップルの新マッチングアプリ『Koigram』
28歳執行役員、挑戦の裏側

サービス

2024年6月に(株)タップルは、新たな挑戦として、革新的なマッチングアプリ「Koigram」をリリースしました。「Koigram」は「無料でも本気の恋はできる」をコンセプトに掲げ、全50問の「16タイプ恋愛診断」への回答が必須。さらに、ユーザー全員がマッチングもチャットも無料で利用できるという独自のサービスを提供しています。リリースから半年経たずして累計マッチング数100万組を超えた、「Koigram」。今回は、28歳で同社の最年少役員を務める「Koigram」事業責任者の川原に、このチャレンジの裏話や成功秘話などを聞きました。
※ 2024年11月時点
 

Profile

  • 川原 祐志 / 株式会社タップル 新規事業責任者、執行役員

    明治大学商学部卒業後、2019年にサイバーエージェントに入社。
    内定者時代に立ち上げた子会社よりマッチングアプリ「koely」をリリースする。
    その後、(株)タップルに異動し、現在は同社の執行役員 兼 「Koigram」の事業責任者を務めている。

28歳執行役員、人生二度目の新規事業立ち上げ

ー 今回事業の立ち上げが2回目とのことですが、前回の新規事業ではどのような経験をされましたか。

前回は、ユーザー同士が“声”をきっかけにコミュニケーションを始めるマッチングアプリを運営していました。サービス自体には独自の特徴がありましたが、ビジネスとして成り立つために必要なユーザー数を確保することができず、最終的にはサービスをクローズする決断をしました。

ー その経験からどのような学びを得ましたか。

「どうしたら成功するか」ではなく、「どうしたら失敗しないか」を考えることの重要性を学びました。新規事業は100のうち1つ成功すれば良いといわれるほど成功率が低いものです。前回の事業では、想定外の失敗が起き、対応が後手に回ってしまいました。その結果、楽観的な計画だけでは物事がうまくいかないことを痛感しました。
その経験を踏まえ、今回は楽観的な理想ではなく、厳しい現実を想像して準備を進めました。想定の範囲内で対応できるようになったことで、サービスの立ち上げが順調に進んでも浮き足立つことなく次の課題に目を向けて行動できました。逆回転(ユーザーが減り、マッチしなくなることで広告費が使えなくなり、さらにユーザーが減り…の繰り返しのこと)を防ぐために、常に先を見据えて動けたことは大きな進歩だと感じています。

ー 今回新規事業の責任者に再度選ばれた時はどのような気持ちでしたか。

素直に嬉しく思いました。私の中長期的なビジョンは「世代を代表する経営者になる」ことなので、再びこのような機会をいただけたことに感謝しています。前回は内定者の時にビジネスの知識も経験もないまま事業を立ち上げました。しかし今回は社会人として6年目を迎え、過去にはベストプレイヤー賞にノミネートされるなど、自分なりに実力を積み上げたタイミングでした。
新規事業を任されることは大きな責任を伴いますが、「怖くないのか」と尋ねられると、むしろ私は緊張感や挑戦のない安定した気持ちで仕事をすることが得意ではありません。常に緊張感を持ち、未知の領域に挑戦していくことで自分は成長できると思っています。

さらに、(株)タップルを成長させて、若い世代により多くのチャンスを創出していきたいという思いもあるので、新規事業に取り組むことに大きな意義を感じています。

 

「Koigram」誕生秘話

ー そもそも、「タップル」が主力サービスとして既にある中で、どうして新しいマッチングアプリを立ち上げることになったのですか。

マッチングアプリをきっかけにした出会いは今や当たり前になってきたので、市場が成熟していく中でも、新たな成長の機会を見出すことが重要です。「タップル」だけに注力するだけでは、さらなる飛躍を実現することは難しいと感じたため、次なる一手として新しいマッチングアプリを立ち上げることになりました。

とはいえ、マッチングアプリはネットワーク効果が働くため、既存の主要アプリが有利で、新興アプリが十分な規模までユーザー数を増やすことは容易ではありません。その課題を克服するために注目したのが、フリーミアムモデルの活用です。“無料”という訴求力を生かし、より多くのユーザーに気軽に利用してもらう戦略を採りました。また、日本では男性がメッセージのやりとりをする際に課金が必要なペイドモデルが主流ですが、海外ではメッセージも無料で利用できるフリーミアムモデルが主流です。この流れはいつか日本にもやってくるという確信のもと立ち上げが決まりました。

(株)タップルのパーパスは「恋愛総量の最大化」です。フリーミアムのサービスを展開することで「タップル」を利用していなかった層にもアプローチが可能となり、新たな恋愛のきっかけを創出できます。これにより、恋愛総量を増やし、多くの方々の幸せに貢献していきたいと考えています。
 

ー 新規事業はマッチングアプリ以外の選択肢もあったのですか。

ありませんでした。当社にはマッチングアプリ業界で長年の経験を持つメンバーが多数在籍しており、これは他社にはない強みです。そのため、最初から新しいマッチングアプリを立ち上げることは会社としての戦略的決定でした。

ー 開発にあたってもっとも大きな課題は何でしたか。

最大の課題は、マッチングアプリのコンセプトを明確にすることでした。業界は、既に10年以上の歴史があり、新しいアイデアを思いついても既にニッチなサービスとして存在していたり、過去に試みられて失敗しているケースが多々ありました。先人達を超える独自のコンセプトを生み出すことが、最初にして最大の苦戦でしたね。

ー そういった状況の中、「Koigram」のアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか。

現在のマッチングアプリ市場では「真剣さ=有料」の価値観が一般的です。例えば「毎月4,000円の課金は高いけれど真剣な出会いを探したい」「無料のマッチングアプリはあるけれどカジュアルすぎる印象」といった声が多く、日本には無料で真剣にお相手を探せるサービスがないことが課題だと考えました。海外ではそのようなフリーミアムモデルが普及しているのだから、日本でも「無料でも真剣」は成立するのではないかと。
ただ今までの無料アプリと差別化を図らなければ、真剣さを謳ったところで信用を得ることは難しいので、「診断」を必須にすることで時間をかけてでも相手の内面を知りたいユーザーが集まるアプリにすることを考えました。当時「16Personalities」がブームとなっており、血液型占いのように、誰もが自分の性格タイプを語る時代が来るのではと予想したことが、「Koigram」のアイデアの核になっています。

ー 新規事業の組織づくりでは、責任者としてどのようなことを意識しているのですか。

チームのマネジメントにおいて、2つの点を意識しています。
1つは「事業が目指すべき方向性と個人のキャリアが一致していること」。メンバーが事業を通じて自身の成長を実感できるよう、個々のキャリアパスと事業のビジョンを結びつけることを大切にしています。
2つ目は「メンバーそれぞれに期待する役割を明確にすること」です。新規事業は取り組むべき課題が多岐にわたるため、各メンバーが自分の役割と責任を理解し、主体的に行動できる環境を整えることが重要です。メンバーが自身の才能を最大限に発揮し、まだ見ぬ長所を伸ばせる場にしたいと考えています。

新規事業ならではの工夫という点では、意思決定における「スピード」と「納得感」のバランスを取ることを大事にしています。意思決定の際、迅速に行動すべき場面と、時間をかけて丁寧に議論すべき場面とを見極め、メリハリをつけています。

また、責任者として信頼してもらうために、間違いや不足があった際には素直に認めて謝ることを心がけています。執行役員としてチームの前に立つ立場ではありますが、赤字事業の責任者であることを意識し、本来なら窓のない3畳一間でやるべきなのにこんな素敵なオフィスと優秀なメンバーに恵まれていることに感謝しています。傲慢にならないよう、常に客観的な視点を持ち、行動することを大切にしています。
 

「タップル」を超えるサービスに

ー 「Koigram」を今後どのようなサービスにしていきたいですか。

「Koigram」は「タップル」を超えるような規模と影響力を持つサービスに育てていきたいと考えています。コンセプトには自信がありますので、まずはより多くの方々に知っていただくことが重要だと考えています。粘り強く挑戦を続け、目標に向かって着実に歩みを進めていきたいです。

ー 最後に今後の意気込みを教えてください。

日本が直面する重要な課題の1つは少子化で、その一因には未婚化があります。当社のパーパスである「恋愛総量の最大化」を通じて、この問題の解決に少しでも貢献したいと考えています。現在、日本では4人に1人がマッチングアプリで結婚していますが、海外と比べると利用率はまだ低いのが現状です。「Koigram」は男女問わずどなたでも無料でご利用いただけるサービスなので、より多くの方が恋愛を楽しめる社会の実現に向け、取り組んでまいります。


 

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